椎間板ヘルニアとウォーキングの関係~きっと体にいいはず?~
椎間板ヘルニア(腰椎椎間板ヘルニア)の患者さんから「ウォーキングはしてもいいですか?」と聞かれることがあります。
※腰の椎間板ヘルニアの話ですが、分かりやすく以下「椎間板ヘルニア」と書きます。
ウォーキングは体によい、とても効果のある運動です。ランニングも同様です。
最近はランナー人口も右肩上がりでウォーキングとともに一種のブームのようになっています。
しかし、体に良いということが神話のようにまかり通っているのも事実です。
椎間板ヘルニアの場合でも、ウォーキングは有効か否か?
さらに、ウォーキングをされている方が、椎間板ヘルニアを発症後、継続してもよいのか?ということはよく耳にする疑問です。
ここでは、椎間板ヘルニアとウォーキングの関係ついてご説明しましょう。
椎間板ヘルニアにウォーキングが良いかどうかは場合による?
さて、椎間板ヘルニアにウォーキングは良いのでしょうか?悪いのでしょうか?
答えは「人による」「症状・状況による」です。
なんとまあ茶を濁すような回答ですが、それにはいくつか理由があります。
一つ目は、は椎間板ヘルニアの症状が様々であること、時期によって運動を進める時期とそうでない時期があることがあります。
二つ目は、ウォーキングにもメリット・デメリットがあることが挙げられます。
椎間板ヘルニアの症状は多岐にわたります。
基本的には、腰の骨の間のクッションが痛んで、後ろの神経を圧迫することが原因です。
しかし、どこのクッションが痛むか、どの神経を圧迫するかによって症状が大きく変化するのです。
神経の症状として、筋力の低下(麻痺)がありますが、それが強い状態でウォーキングをすると思わぬ転倒につながることが結構あるのです。
(ただの平地でもつまづくことが多いのです)
また、椎間板ヘルニアの急性期に無理に歩こうとすると、クッションが破れた付近では強い炎症が起こっています。
なので、まさに「たんこぶをつつく」ようなことになり、悪化させてしまうのです。
ウォーキングはメリットばかりではありません。
椎間板ヘルニアや腰痛予防にとって運動し、体重をコントロールすることはとてもよいことです。
しかし、症状があるときに無理して歩こうとすると背骨に体重だけでなく歩くときの衝撃も加わり、椎間板ヘルニアを悪化させることもあります。
シンプルに「歩けばなんでもよい」というわけではないというところに注意が必要です。
椎間板ヘルニアによる症状が疑われる場合は、きちんと受診の上、ウォーキングしてもよいかどうかを確認してみましょう。
椎椎間板ヘルニアとウォーキング~さあどうやって歩こうか?~
椎間板ヘルニアの症状があるときのウォーキングには注意が必要と書きました。
実際に、健康のためにウォーキングを始めてわずか1週間で腰が痛くなり、椎間板ヘルニアと診断されたという方もおられます。
では、いったいどんなところに注意が必要なのでしょうか?
基本は「がんばらない」です。
腰や足に痛みやしびれが出るようならすぐに座って休む、中止するなどするべきでしょう。
痛みがあるのに苦痛に耐えるようにがんばっても、椎間板ヘルニアは決して治ることはありません。
痛みが出ているということは、いわゆる傷口に塩を塗っているのと同じことなのです。
そして、ウォーキングをする際の注意点として姿勢があります。
実は、いわゆる背筋を伸ばす、胸を張るという歩き方をすると、逆に腰痛を引き起こしたり、ヘルニアを悪化させることにつながります。
理由としては、良い姿勢を意識するあまり、体を反って歩いてしまう方が多いのです。
理想としては、軽くあごをひく、少し下腹に力をいれる、無理して大股で歩かないなどを意識していただくのがちょうどよいでしょう。
もちろん、ある程度慣れてくれば、少し歩幅を広げたり、手の振り方を大きくしたりするのは良いと思います。
その他ではシューズはクッション性のあるものが望ましいです。
同じような理由で、地面が固いところばかりより、ある程度柔らかい所のほうが理想的です。
地面からの衝撃は結構人の身体に響いてしまうので注意が必要です。
また、もしも椎間板ヘルニアになったことがある、ウォーキングしたいけど悪化が心配などあれば水中歩行がおすすめです。
プールに出向くのは大変ですが、同じ時間歩いても運動量はけた違いですし、腰に対する負担も軽くて済みます。
運動はとても良いものです。自分の状態を適切に知って、よい運動を行っていきましょう!