腰痛に水泳が良いって本当?
腰痛改善のために「水泳が効果的」と言われますが、本当でしょうか?
確かに、水の中で運動をすれば、体重による腰への負荷は軽減されますので、腰痛に良いように感じるでしょう。
しかし、水泳は、泳ぐ時のフォームや筋肉の使い方によっては、反対に「腰痛の原因」となる場合もあるのです。
特に、水泳による腰痛は、腰椎(腰の骨)が反るような姿勢になる、「平泳ぎ」や「バタフライ」に多いと言えるでしょう。
常に体をケアしている水泳のアスリート選手でも、スポーツ障害として腰痛を持っている方が多いというから驚きです。
腰痛に悪い水泳は腰椎の過伸展が起きやすい
水泳が原因で起きる腰痛の中では、過伸展(かしんてん)による腰痛と、腰椎分離症(ようついぶんりしょう)による腰痛があります。
過伸展というのは、カンタンに言うと、「関節が伸び過ぎた状態」のことです。
たとえば、「バタフライ」は、腰がクネクネ曲がって、まるでイルカが泳いでいるような動きをしますね。
このイルカに似たキックのことを、文字通り「ドルフィンキック」と言います。
もちろん強いキックは、水中での前進力を生みますから、多くのスイマーは頑張ってこの「クネクネ運動」を強く繰り返します。
結果的に、腰椎に強い負荷がかかり、関節の限界よりもさらに伸びてしまう「過伸展」が起き、腰痛の原因となるわけです。
平泳ぎの場合、ドルフィンキックこそありませんが、独特の呼吸法や、後ろに反り返るような姿勢を取り続けることで、腰椎の過伸展が起きるのです。
そしてもう一つ、「水泳による腰痛」と言えば、腰痛分離症(ようついぶんりしょう)が挙げられます。
腰椎分離症は、腰椎を繰り返し反らしたり、ねじったりすることで、腰椎の後にある椎弓(ついきゅう)がストレスを受け、ヒビ割れることで起こる症状です。
腰椎は、身体が動いている限り、必ず何らかの形で動いていますので、一度ひび割れたり折れたりすると、なかなか治りにくいのです。
腰痛改善に効果的な水中運動は?
基本的に「腰痛」は、腰椎のズレや骨盤のゆがみによって腰周辺の筋肉が硬直したり、神経圧迫されて起きることが多いです。
(※内臓疾患による腰痛の場合は除く)
つまり、腰痛を改善するには、腰回りの筋肉を適度に使った運動が必要なわけです。
しかし、陸上の場合は、どうしても体重が思いっきり腰部に負担をかけるため、腰痛改善のための運動を長く続けることが出来ません。
その点、水中の場合は、体重による身体への負荷が「10分の1」ほどになると言われていますので、関節への余計な負担が減るわけです。
結果的に、浮力によって体重が軽減され、水の抵抗によって筋肉が鍛えられますから、水中での適度な運動は腰痛に良いと言えるのです。
ただし、前述したような無理な水泳法を行うことは、腰痛悪化につながります。
その点にだけ注意すれば、腰痛改善に効果的な水中運動が行えるでしょう。