椎間板ヘルニアとくるぶしの関係性~くるぶしが痛いのに腰から?~
椎間板ヘルニアになった方で、くるぶしが痛むというケースがあります。
まず、椎間板ヘルニア(腰椎椎間板ヘルニア)になったことがある人はとても多く、アメリカの調査では人口10万にあたり46.3人とされています。
男女でいうと、日本における調査では男性が女性の3倍かかりやすいというデータが出ています。
この椎間板ヘルニアですが、特徴として、くるぶしなど、足に症状が出ることで知られています。
ここでは、椎間板ヘルニアの痛みがくるぶしに現れるケースについてご説明します。
椎間板ヘルニアがくるぶしの痛みに現れる原因は?
椎間板ヘルニアがくるぶしの痛みに現れる原因は何でしょうか?
まず、腰椎同士の間にあるクッション(椎間板)が強い負荷によりねじり切れて、後ろに飛び出す状態のことを腰椎椎間板ヘルニアと呼びます。
(一般的には、椎間板ヘルニアですね)
この飛び出したもの(髄核)が、足に向かう神経を圧迫して、腰だけでなく、くるぶしや足にもしびれや痛みが出るのです。
中には、腰は全く痛みがなく、足(くるぶし)ばかりが痛い人も多くいらっしゃいます。
足が痛くて病院に行ったのに、腰が原因だといわれるケースは実はとても多いのです。
その中でも特に、今回は腰椎椎間板ヘルニアの足の症状のうち、くるぶしに痛みが出ることについてお話します。
まず、くるぶしに痛みが出る場合、腰椎椎間板ヘルニアによって症状が出る場合と、腰からお尻周りの筋肉が硬直して出る場合の「2パターン」があります。
(くるぶし周りそのものに問題がある場合もあります)
腰椎椎間板ヘルニアによって神経が圧迫される場合、多くは、腰椎の4番目と5番目の間の椎間板が傷んで、神経を圧迫していることが考えられます。
この場合、すねの前、外側からくるぶしにかけてと、足の甲から親指にかけてしびれや痛みが出現します。
さらに、つま先を挙げてかかとだけで立つことが難しくなることが多いです。
痛みの出方としては、くしゃみやトイレでいきんだ時、荷物を抱えたときなどに症状が出ることがあります。
ぎっくり腰のように、急性にヘルニアになった場合には、寝ていても足がじんじんと痛むという激しい症状が出ます。
次に腰回りの筋肉が硬直した場合ですが、ヘルニアと間違えて診断されることが多いです。
中には手術まで勧められた人が、お尻の筋肉を柔らかくしただけで改善した例もあるほどです。
症状としては、太ももの外側からすねの外側、くるぶしにかけて鈍い痛みがでます。
(不思議と足の甲には症状は出にくいようです)
この場合の特徴としては、以下のようにヘルニアとは違う症状が現れます。
- 感覚が鈍くなるようなしびれがないこと
- 筋力に大きな問題はないこと(かかと立ち、つま先立ちなど可能)
- 歩いたり、いろいろと動いたりする間には少し楽になること
- 逆に、長時間の運転などじっとしていると症状が強くなること
おなじ足の症状でも原因は様々です。
まずは、足の筋肉の力がはいるかどうか、触った感覚が鈍くないかどうかをご自身でチェックしてみてください!
椎間板ヘルニアとくるぶし~お尻周りの筋肉を柔らかくしよう~
椎間板ヘルニアによる「くるぶし周りの症状」の対応について、お話していきます。
腰椎の椎間板ヘルニアにしろ、腰からお尻周りの筋肉が硬直しているにしろ、まずはくるぶし周りに症状が出た場合、一度は病院を受診することをお勧めします。
なぜなら、椎間板ヘルニアが重篤だった場合、「膀胱直腸障害」といって、おしっこを出すことなどをつかさどる神経まで障害されている場合があるからです。
適切におしっこを排出できないと、ともすれば命にかかわる状態になるため、早急に手術ということがあるからです。
ほとんどの場合、そこまでひどいことはないのですが、一度きちんと検査はしておくべきかと思います。
さて、椎間板ヘルニアによる「くるぶし周り」の症状への対応についてお伝えします。
椎間板ヘルニア由来のくるぶし症状の場合
まず大切なのはヘルニアによる神経の圧迫を強めないことが大切です。
中腰、ものを抱える、強くいきむ、腰が曲がったまま長時間座る、腰をねじるなどの動作を極力避けることが重要です。
また、座っている姿勢や寝ている姿勢も極力楽な姿勢をとるようにしてください。
(うつぶせで胸の下に大きめの枕を入れて軽く体が反るように寝ると楽なことが多いです)
腰サポーターなどを使って腰を安定させてあげるのも一つの手です。
また、次に書くように、お尻周りの筋肉が硬直している肩も多いので、次に書くような筋肉への対処もしておくとよいでしょう。
腰からお尻周りの筋肉由来のくるぶし症状の場合
神経の症状(触った感覚が問題ない、足の筋肉の力の入り方に左右差がなくしっかりと入る)が強くない場合は、お尻周りの筋肉が硬直して、足に出ることがあります。
(トリガーポイントと呼ばれています)
この場合は、無理のない範囲でゆっくりと体を動かすことが大切です。
軽めのラジオ体操や、ストレッチなどが有効です。
もちろん椎間板ヘルニアと合併していることもありますので、体操中くるぶしの症状が強くなるようなら中止しましょう。
さらに、横向きに寝て、テニスボールを下になった方のお尻の横にあてて圧迫するのがとても有効です。
あまりぐりぐりと動かさず30秒程度圧迫するのがポイントです。
また、ゆっくりとぬるめのお風呂につかることもよいとされています。
初めにも書きましたが、くるぶしの症状には注意が必要です。
きちんと検査したうえで、適切な対処を行うとともに、悪化させるような姿勢や動きにはぜひとも注意してください。