脊柱管狭窄症のケンプテストについて
脊柱管狭窄症になった方で、ケンプテストという検査をご存知の方はいらっしゃいますか?
ケンプテストとは、神経根に圧迫がある場合に、それが後根(椎間板外側部)にあるか前根(椎間板内側部)にあるかを鑑別する検査です。
脊柱管狭窄症という言葉だけでも難しいのに、さらに言葉が難しいですね。
ここでは、脊柱管狭窄症とケンプテストの関係性についてご説明します。
脊柱管狭窄症にケンプテストはどう使われる?
脊柱管狭窄症にケンプテストは、どのようにして使われるのでしょうか?
ケンプテストは、主に、脊柱管狭窄症や坐骨神経痛、椎間板ヘルニアが疑われる方に使用される検査です。
前根と後根は機能が異なります。
前根というのは、脊髄神経の神経根の中でも 遠心性運動神経根のことを指します。
前根では、遠心性の神経性繊維が多くて、運動を主に支配している繊維が多いということになります。
後根(または背根【はいこん】)は、脊髄神経の中でも脊髄に感覚神経が入り込む神経根を指します。
後根では、求心性の神経繊維が多く、主に感覚を支配している繊維が多いです。
脊柱管狭窄症では、両方混在している場合が多いですが、どちらの症状が強いのか鑑別する必要があります。
それにより、運動療法の指導内容が異なってくるからです。
そのため、脊柱管狭窄症にはケンプテストが用いられるわけです。
脊柱管狭窄症のケンプテストはどうやって行う?
脊柱管狭窄症にケンプテストは、どのようにして行われるのでしょうか?
まず、その方法としては、座った状態、もしくは立った状態にて実施します。
最初に、胸の前で腕を組み、左右どちらかに回旋し後方へ身体を反らします。
曲げた側に痛みが出れば「後根」に圧迫があり、伸びている側に痛みが出れば、前根に「圧迫」がある可能性が高いということになります。
ケンプテストで陽性の場合、坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症が疑われます。
ケンプテストにおける注意点としては、元々圧迫されている神経をさらに圧迫させ、症状を一時的に強く出現させる事で検査を行います。
そのため、あまり勢いよく行わず、ゆっくりと行うことが大切です。
また、症状が出現したらもちろん陽性ですが、症状が出現しないからといって、強くしすぎないよう注意しましょう。
ケンプテストでは、回旋プラス伸展方向への運動を行っており、この運動は腰部にとって負担をかける運動となります。
脊柱管狭窄症の痛みを悪くする事もありますので、ケンプテストは医療機関などの専門的な知識がある方に行ってもらう事が良いでしょう。
知識を持っている事は大切ですが、無理な運動で痛みを生み出す事は多々あり、よく外来でもそのようなお話を聞くことが多いです。
なので、自分で行う場合はくれぐれもゆっくり実施するよう気をつけてください。