ぎっくり腰(急性腰痛症)は労災認定されるのか?

ぎっくり腰 労災認定

 

ぎっくり腰(急性腰痛症)は「労災認定」されて支払いがなされるのか?

 

これについては、かなり気になる方も多いと思います。

 

運送業等で重い荷物を運んだりする方はもちろんのこと、最近多いのが、介護関係のお仕事をされている方の腰痛です。

 

看護師さんや介護士さんなどは、ベッドから抱き起したりおぶったり、無理な体勢になったり、ぎっくり腰の事例は「つき物」と言えます。

 

会社の仕事をこなしている時に、いきなりグキッ!とぎっくり腰になったわけだから、それは労災の対象になるでしょう!

 

・・・と言いたくなる気持ちはよく分かります。

 

しかし、ぎっくり腰(急性腰痛症)の労災認定の判断基準は、私たちが想像するよりも、かなり難しいものなのです。

ぎっくり腰(急性腰痛症)の労災認定の基準について

ぎっくり腰(急性腰痛症)に限らず「腰痛」に対して、厚生労働省では労災認定を、以下のように定めています。

 

「明らかに仕事が原因で発症した腰痛であり、医師により療養の必要があると診断されたもの」

 

要するに、「仕事が原因で発症した」だけでも認定されませんし、「医師により療養の必要がある」と診断されただけでも、労災認定はされません。

 

つまり、労災認定のためには、両方とも網羅する必要があるんですね。

 

ちなみに、ぎっくり腰(急性腰痛症)について、厚生労働省のガイドラインには、以下のようなことが書かれています。

 

「俗にいわれる「ぎっくり腰」(病名は「急性腰痛症」など) は、日常的な動作の中で生じるので、たとえ仕事中に発症したとしても、労災補償の対象とは認められません。」

 

「えー!」という感じですよね。

 

しかし、以下のように「続き」が書かれています。

 

「ただし、発症時の動作や姿勢の異常性などから、腰への強い力の作用があった場合には業務上と認められることがあります」

 

では、どんな状態で発症すれば「ぎっくり腰」は労災認定となるのでしょうか?

ぎっくり腰(急性腰痛症)の労災認定の2つの要件

ぎっくり腰(急性腰痛症)が労災認定されるためには以下の要件を満たす必要があります。

 

※以下、厚生労働省のガイドライン引用となります。

 

●災害性の原因による腰痛

 

負傷などによる腰痛で、次の①、②を満たすもの。

 

(1)腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること。

 

(2)腰に作用した力が腰痛を発症させ、また腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること。

 

●災害性の原因によらない腰痛

 

突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、作業の状態や作業期間などから見て、仕事が原因で発症したと認められるもの。

 

「災害性の原因による腰痛」とは、たとえば、重いものを2人で運んでいた時、片方がつまずいたことで、急激に腰への負担がかかって発症した腰痛などがそれに該当します。

 

この場合、労災認定となるわけですね。

 

「災害性の原因によらない腰痛」の場合は、また少し面倒です。

 

日々の業務による腰への負荷が少しずつかかって発症する腰痛となります。

 

たとえば、配電工のように、毎日数時間、腰に対してとても不自然な姿勢を保ちながら仕事をし続ける必要があり、腰痛になってしまった。

 

または、長距離トラックの運転手の方が、長時間立ち上がることもできずに、同一の姿勢を維持しなければならずに、腰痛となった。

 

などなど、このような場合も労災認定となるわけです。

 

あと、骨に対しての基準もありますが、その場合は「加齢によるものではない」と明らかに認められる必要があるわけです。

 

仕事の内容によって詳細は変わってきますので、気になる方は「厚生労働省のガイドライン」を読んでみてください。

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